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②文法と文脈から考える(原文理解力)



皆さん、こんにちは。翻訳者のネルソン聡子です。翻訳業を生業としながらRAY translation Academy & Communityを運営およびAcademyの講師をしています。

この『Translation skills BASIC:翻訳スキルUPを目指して基本を学ぼう!』は、翻訳をするために欠かせない「考え方」や「スキル」を学ぶ12回シリーズのブログです。12回すべて読めば翻訳者になれる!というわけではないのですが(そういった謳い文句に出会ったら要注意です!)、翻訳の楽しさや難しさは十分に知って頂けると思います。例文を解説しながら進めますので、ぜひ実際に訳してみて下さい。

紙とペンの用意の用意はいいですか? では、レッツゴー!


2回目で取り上げるのは、翻訳に必要な5つのスキル(原文理解力、リサーチ力、イメージする力、文章構成・表現力、校正力)の中で最初に使う「原文理解力」です。


原文を理解する時には、常に「文法」と「文脈」という2つの視点から考えることを、まずは覚えておきましょう。複雑な文法に関しては色々な本が出ていますので、そちらにお任せします。今回は簡単な文章だけど原文の意味を取り違えることがある例をお話できればと思います。


早速、例文を見ていきましょう。


In grade ten there was a school dance. It was held on a Friday evening in October. I was maybe, fifteen years old. I wanted to go to the dance. I bought a ticket. And then I came face to face with the next step. I needed a date. When you go to and all boys’ school, you can’t show up at a dance without a date. If everyone did that, there would be no one to dance with. Only a loser would go alone.

「THE VINYL CAFE NOTEBOOKS」より



特に難しい英語は使われていませんので、文章自体はスラスラ読めますよね。

ここで問題です。

赤文字部分の「I needed a date.」は、下記のどちらの意味になるでしょうか?


①デートをする必要があった

②デートの相手が必要だった


正解は・・・②「デートする相手が必要だった」です。


「なんだ、簡単じゃん」と思った方もいるかも知れませんが、ここに引っかかってしまう人も意外といるのです。この「date」を動詞と捉え、①の「デートをする必要があった」「デートをしないといけなかった」と捉えてしまうようです。



文法と文脈の視点からそれぞれ見ていきましょう。



文法的な視点から見ると・・・

「a date」は「a」が入っているので、この「date」は名詞になりますね。

*「デートをすることが必要だった」という意味の文章にするのであれば(あまり使わないと思いますが…)「I needed to date.」となります。


英語は冠詞があります。日本語には存在しないのでついスルーしてしまいがちですが、翻訳する際には細心の注意を払いましょう。


文脈的な視点から見ると・・・

「a date」には下記の二つの意味があります。


1.「デート」 *デートそのものを指します。

2.「デートの相手」


この文章では2.の意味で捉えることが正解ですが、「デートすることが必要だった」と捉える人の中には(このdateは名詞だと分かっていたとしても)1番目の意味で理解をする人もいます。


英語はややこしいですね。でも、このややこしさを読み解いてこそ翻訳ができますので、頑張りましょう!翻訳の勉強を初めたばかりの頃は、一文一文を丁寧に訳そうとするあまり前後のつながりまで気を配れないことがよくあります。ですが、この「前後のつながりに気を配る」というのが文脈の視点から見ることなのです。


「I needed a date」のあとを読んで、前後のつながりを見ていきましょう。


When you go to and all boys’ school, you can’t show up at a dance without a date. If everyone did that, there would be no one to dance with. Only a loser would go alone.


ざっくりと主旨を捉えると「パーティーに一人で参加するやつなんていない。一人で参加したら負け犬だ」という内容ですね。特に下線を引いた部分を読むと「パーティーには一人で行ってはだめということだから、このdateはデートする相手のことだな」と推測できるのではないでしょうか?


簡単な例文でしたが、難しい内容の文章でも基本的には同じです。文法の視点から見てみて合っていると思っても、文脈を考えてみると「ん?こういう意味ではなさそうだぞ」となることは(その逆も)たくさんあります。



原文を理解する時は、必ず「文法」と「文脈」を2つの視点から考える。これが大事です。



次は「リサーチの質は翻訳の質に直結する」というほど重要な「リサーチ力」を取り上げます。では、また次回の『Translation skills BASIC:翻訳スキルUPを目指して基本を学ぼう!』でお会いしましょう!


 

RAY translation Academyでは、翻訳者に1対1で相談ができる「Private session」を行っています(課題の添削、翻訳レベルの診断もあり)。ご興味のある方はこちらから詳細を御覧ください。

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